温暖化とは

産業革命以降、人間の活動による化石燃料の使用や森林の減少などにより、大気中に二酸化炭素などの温室効果ガスが蓄積され、その急激な増加によって地球規模で気温や海水温が上昇しています。

この結果、世界の平均的気温の上昇のみならず、異常高温や大雨・干ばつが増加し、水資源や農作物に影響が及び、将来、食糧や生態系、健康への深刻な被害を引き起こすのではないかと心配されています。

気候の変動によって起きると予測される事態に対して、どう対処し、解決策を見出していくか、今、真剣に考えなければなりません。

環境省は4月14日、2018年度の我が国の温室効果ガス排出量は、12億4,000万トン(二酸化炭素(CO₂)換算)で、前年度比3.9%減(2013年度比12.0%減、2005年度比10.2%減)で、2014 年度以降 5 年連続で減少との確報値を発表した。

前年度からの減少要因としては、電力の低炭素化に伴う電力由来のCO₂排出量の減少や、エネルギー消費量の減少(省エネ、暖冬等)により、エネルギー起源のCO₂排出量が減少したこと等が挙げられている。

また、家庭部門においては、前年度に比べ全国的に冬の気温がかなり高かったこと等によるエネルギー消費量の減少や、電力の CO₂排出原単位の改善等により、2,070 万トン(11.1%)の削減となっている。

なお、我が国は、温室効果ガス削減目標を2030年度に2013年度比26.0%減(2005年度比25.4%減)としており、今回の確報値に関して、小泉環境大臣は、「5連続減少とはいえ、その30年までの26%目標の達成に向けては、その道のりは決して楽観できないと思う」とされ、「今般の新型コロナウイルスの事態の収束後に反転攻勢を進めていくときには、今までの形ではなくて、持続可能な形で脱炭素社会に移行する社会変革を加速させていきたい」と述べられた。

滋賀県は、4月1日に、琵琶湖北湖で例年冬に見られる全層循環、いわゆる琵琶湖の深呼吸が、2年連続で確認できなかったと発表しました。

同日の記者会見において、三日月滋賀県知事は、「琵琶湖の全層循環は、2年連続で確認できていないという状況にあり大変心配している。気候変動の影響が琵琶湖においても顕在化しているのではないかと思われる」とし、「琵琶湖の豊かな恵みを後世に伝えるためにも、温暖化対策は待ったなしの状況だ」と述べられた。

そのうえで、4月に宣言された「“しがCO₂ネットゼロ”ムーブメント」の取り組みを県民、事業者、行政が一体となって進めていきたいと、あらためて地球温暖化対策の必要性を強調された。

 

琵琶湖北湖第一湖盆における底層溶存酸素量(底層DO)の回復状況についてhttps://www.pref.shiga.lg.jp/file/attachment/5170373.pdf

知事会見(令和2年度前半)|滋賀県ホームページ
https://www.pref.shiga.lg.jp/kensei/chizi/kaiken/311108.html

家庭用太陽光発電については余剰電力の買取価格の低下や買取期間の満了などの問題があり、その拡大普及環境は厳しいものがあるといわれます。

これまでに説明してきたように太陽光パネルの設置費用も低下傾向にありますが、設置者にとって設置後の経済的メリットがどのようになるのか、見通しが困難な状態といえます。

そのような状況の中で温暖化防止のためにこれからも太陽光発電の重要性は変わらないはずです。

ではどのように考えていけばよいのか。方向性として議論されているのが自家消費「電気代ゼロ」の生活を目指すことです。設置した太陽光パネルで発電した電力の余剰分を売電にのみ頼るのではなく、蓄電池を併用したり電気自動車の電源に活用したりして、総合的に家庭で使う電力の無駄のない使い方を考え、防災対策も含めて将来に備える時代がやって来たといえるのかも知れません。

そのようになるには国の政策や自治体等の補助金の充実など今後の施策に期待されるところも大きいといえます。

住宅用太陽光発電の場合、設置後10年で固定価格買取期間が満了します。これを卒FITといいますが、卒FITになった後はどうなるのでしょうか。

2019年度に卒FITになる住宅用太陽光は53万件になり2023年度までの累計は165万件になります。卒FITの年度が確定している方、これから太陽光パネルの設置を考えている方は、率FIT後のことも考える必要があります。太陽光パネルの耐用年数は20~25年といわれますから、初期投資に対してどのような経済的メリットがあるのかを考えることが今後の再エネの普及には欠かせない課題です。

そのための参考となるのが、売電価格の推移予測と太陽光パネルの設置費用の予測です。売電価格の推移については前回「どうなるか、固定価格買取制度」でお伝えしたとおりですが、それでは、太陽光パネルの設置費用はどうなっているのでしょうか。

日本の太陽光発電導入量とシステム価格の推移はグラフのとおりで、2016年ですが1kWhあたり37万円となっています。太陽光パネルの設置費用は年々低下傾向にあり2018~2019年時点では住宅用の場合30万円を切る程度になっているといわれます。

国の方針では再生可能エネルギーの主力電源化を目指して2020年以降のできるだけ早い時期に20万円/kWの達成を目指しています。

FITからの自立化はエネルギー白書2019をご覧ください。

第3部 第3章 第1節 コストダウンの加速化とFITからの自立化 │ 平成30年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2019) HTML版 │ 資源エネルギー庁
https://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2019html/3-3-1.html

日本の再エネを増やしてきた背景に固定価格買取制度があります。発電した電力を決まった価格で電力会社が買い取ってくれる制度ですが、この制度の背景には電気の消費者が負担する再エネ賦課金があります。

電力会社が固定価格で買い取りを続けていくためには、自前で発電するコストと買取価格との差額を埋めてもらう必要があります。その資金を生み出してきたのが再エネ賦課金ですが、消費者(国民)の負担が多額になるという指摘があり、買取価格を安くする、あるいは、買取期間に制限を設ける対策が講じられるようになりました。

再エネ賦課金の推移
年度 再エネ賦課金
単価
標準家庭の
負担額※1
平成31年度(2019年度)
2019年4月1日~2020年3月31日
2.95円/kWh 885円/月
平成30年度
2018年4月1日~2019年3月31日
2.90円/kWh 870円/月
平成29年度
2017年4月1日~2018年3月31日
2.64円/kWh 792円/月
平成28年度
2016年4月1日~2017年3月31日
2.25円/kWh 675円/月
平成27年度
2015年4月1日~2016年3月31日
1.58円/kWh 474円/月
平成26年度
2014年4月1日~2015年3月31日
0.75円/kWh 225円/月
平成25年度
2013年4月1日~2014年3月31日
0.40円/kWh 120円/月
平成24年度
2012年4月1日~2013年3月31日
0.22円/kWh 66円/月

標準家庭※1:一ヶ月の電力使用量が300kWh(月7,600円程度)の家庭を想定

再エネ賦課金は今後も増え続ける?環境省が再エネ賦課金の予想を公表【ソーラーパートナーズ】
https://www.solar-partners.jp/pv-eco-informations-36949.html#outline__1

 

2019年度から住宅用太陽光パネルによる電力の固定価格買取は設置後10年間、事業者用は20年間という買取の満了期間が決められました。さらに買取制度の開始時から比べると買取価格は約半額になっており今後も低下する可能性があります。

太陽光発電の売電価格 推移グラフや今後の動きは?最新情報で解説します【ソーラーパートナーズ】
https://www.solar-partners.jp/category/feed-in-tariff#outline__1

この質問に対して経済産業省資源エネルギー庁がQ&Aで答えていますので参考にご覧ください。

 日本で再エネをもっと使っていくためには、どんな課題を解決していく必要があるのでしょうか。再エネに関する「よくある質問」にお答えします。

これまで再生可能エネルギーはコストが高くつくと考えられてきましたが、技術革新や国際競争の成果として着実にコストが下がってきました。

国際再生可能エネルギー機関(IRENA)によると2010年から2017年の7年間で、太陽光発電のコストは約73%、陸上風力発電のコストは約25%も低下しているということです。その結果、化石燃料による発電コストと比べて再エネ発電のコストは遜色のないレベルまで下がっているということになります。

今後さらに再エネ発電のコストは下がると見込まれており、コストが高くつくという理由で再エネの普及を阻むことはなくなると思われます。

太陽光発電と風力発電のコストの推移

(円/kWh)

太陽光発電のコスト

 

(円/kWh)

風力発電のコスト

※Bloomberg new energy financeより資源エネルギー庁制作

 

 

再生可能エネルギーを増やす決め手はやはり太陽光発電を拡大することですが、日本の太陽電池の生産量は2006年には世界の36.8%を占め世界第1位でしたが、2017年にはわずか2%になっています。中国の生産量が増え同年には中国が72%を占めています。

2050年CO₂排出「実質ゼロ」宣言が話題になっている中、再生可能エネルギーへの関心が高まりつつあります。その状況を順次お伝えします。

 

①「第5次エネルギー基本計画」

この中で、2030年温室効果ガス26%削減に向けて再生可能エネルギーの主力電源化への布石をうつことを主な施策としています。さらに2050年に向けた対応として再エネの主力電源化を目指すと定めています。

第5次エネルギー基本計画(METI/経済産業省)
https://www.meti.go.jp/press/2018/07/20180703001/20180703001-2.pdf

 

②日本のエネルギー自給率は?

日本のエネルギーは化石燃料に大きく依存しているため海外からの輸入に頼っており、2017年の自給率は9.6%に過ぎません。エネルギーの安全保障の観点からも自給率の向上が求められています。そのためには再生可能エネルギーを増やすことが不可欠です。

2019—日本が抱えているエネルギー問題(前編)|スペシャルコンテンツ|資源エネルギー庁 https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/energyissue2019.html

下水処理は都市生活において不可欠な事業ですが、下水処理のとき発生する「下水汚泥」をエネルギーとして利用している割合はまだ低い状態です。

下水汚泥から水素を製造する技術は進歩しています。水素は使用段階でCO₂を排出しないクリーンな再生可能エネルギーとして、その活用に期待が寄せられています。下水汚泥から水素をつくると次のようなメリットがあると指摘されています。

  • 都市に大量に存在しエネルギー需要地の近くで活用できる(地産地消型)
  • 太陽光発電等と異なり比較的安定したエネルギー源になる(安定性)
  • 既存のメタン発酵施設を活用すれば初期投資が少なくて済む(経済性)
  • 燃料電池を利用してFCV(燃料電池自動車)の普及にも使える(汎用性)

国土交通省では、自治体において、下水汚泥を活用する水素製造の推進を支援しています。

 

下水道資源の有効活用④ – 埼玉県
https://www.pref.saitama.lg.jp/a0001/room-kaiken/documents/20150909.pdf

ゼロエミッション東京戦略|東京都環境局https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/policy_others/zeroemission_tokyo/strategy.html

再エネ由来CO2フリー水素を、脱炭素社会実現の柱に ※参考イメージ図|東京都環境局https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/policy_others/zeroemission_tokyo/strategy.files/reference_image.pdf

福岡市 水素リーダー都市プロジェクト
https://www.city.fukuoka.lg.jp/keizai/kagakugijutsu/business/suisoleader.html