更新情報

前回、現在の日本のエネルギー源として火力発電の比率が高まっていることをお伝えしました。環境省は石炭による火力発電が増えてCO²の排出が増えていくことを懸念しています。

NHKのTVシンポジウム「どうする日本のエネルギー」が放映され、その中で、石炭ガス化複合発電(IGCC)のことが紹介されました。既存の石炭火力発電は、石炭を燃やした熱を利用してボイラーで蒸気を発生させて蒸気タービンを回し、電気を起こしています。

IGCCでは、まず石炭をガス化し、そのガスを利用してガスタービンを動かして発電し、更にガスタービンの排熱を利用して蒸気をつくり蒸気タービンを回して発電するという2段階の発電(いわゆる複合発電)を行なって発電効率を高めようとする技術です。この技術によって石炭の消費量を減らしCO²の排出を約15%削減できるということです。

さらに燃料電池を組み込んだIGFC(石炭ガス化燃料電池複合発電)は、石炭ガス化に始まり燃料電池、ガスタービン、蒸気タービンの3種の発電形態を組み合わせて、トリプル複合発電を行なうもので、CO²の排出量を約30%減らすことが見込めるということです。

今号では、11月18日に開催した「環境情報合同交流会2017」の開催報告を掲載しました。琵琶湖環境科学研究センターの内藤先生の基調講演要旨、そして講演に続いて行なった4グループによるテーマ別ディスカッションの概要(参加者から出た主な意見)をまとめています。

また12月17日開催の「大津で再生可能エネルギーを増やそう!」講座報告、さらに小学生エコライフデーに参加してくれた膳所小学校4年生へのインタビュー記事も掲載しています。ぜひ、お読みください。

日本の2030年度における電源構成は計画によると再生可能エネルギーが22~24%、原子力発電が22~20%、火力発電が56%程度になるとされていますが、原発は思うように稼働できず(今、2%程度)、再生可能エネルギーも15%程度で、火力発電が80%以上を占めているという現状です。しかし石炭火力発電は多くのCO2を排出するので温暖化対策上、課題があります。

このような状況を踏まえて、日本の中長期のエネルギー政策をどうしていくか、太陽光発電などの再生可能エネルギーをどう増やせるか、本格的な検討が求められています。

気象庁によると2017年1月~11月の世界の平均気温は、平年より0.39℃高く、過去3番目の高温になる見通しです。126年前の1891年に統計を取り始めて以来、最も高かったのは2016年で、2番目がその前の年です。3年連続で高温が続いていることになります。

また、世界の各地で異常気象が発生しており、大雨やハリケーン・台風が起こり大きな被害がでています。これらの現象は、地球温暖化の影響と考えられています。

大津市地球温暖化防止活動推進センターは、12月7日~9日に、東京ビッグサイト(東京都江東区有明)で開催された「エコプロ展」に当センターの取り組みを紹介する展示を行ないました。同展は3日間で総来場者が16万人を超える盛況でした。

    • (1)当センターの取り組みとして3つの活動を紹介
      菜の花プロジェクト、生ごみリサイクル、ビオトープづくり、の3つの取り組みを「ご当地エコ」として紹介しました。

 

これまでのエコライフデーは夏に実施してきましたが、この度、1月7日をエコライフデー(冬版)とし、平野学区で実施します。地域の皆様のご協力お願いいたします。

12月17日()の午後、地球温暖化防止事業として、明日都浜大津5階会議室において、大津で再生可能エネルギーをもっと、増やしていくための講座を開催しました。

まず「住宅用太陽光発電はエネルギー自給自足時代へ」と題して立川博一氏(シャープエネルギーソリューション株式会社)のお話を聴きました。太陽光による発電(電気をつくる)と併せて蓄電池を設置する(電気をためる)ことで、「発電と蓄電のセット」により、割安な電気を賢く使って自家消費・売電をうまく組み合わせることによって「電気代0円生活をめざそう!」というお話を具体的な数値を示しながら分かりやすく説明していただきました。また発電と節電を自動でコントロールする(電気を賢く使う)HEMSのことも参考になりました。トータルで家庭の電気をどう節約するかを考える時代になったという印象を受けました。

続いて、株式会社山久の森田基仁氏から「持ち運びもできる、身近で安価な太陽光パネルの活用」と題して、災害時やアウトドアの楽しみにも使えるように、折り畳み式で持ち運びができ、価格も手ごろなパネルの紹介がありました。蓄電池(200Wh)付きで利用できます。展示された現物を参加者の皆さんが興味を持って見ていました。

太陽光発電は再生可能エネルギーの柱になるものですが、併せて節電も重要であり最後に、大津市センターのエネルギープロジェクトリーダーの山 和孝氏から「照明LED化による節電効果(家庭の身近な省エネ対策)」の説明があり、電気の上手な使い方、そして地球温暖化防止を考える意義のある講座となりました。

「大津でもっと再生可能エネルギーを増やそう!」

気象庁によると大気中の二酸化炭素が海に溶け込むことによって起る海の酸性化が急速に進んでいるということです。

海は大気中の二酸化炭素を吸収し温暖化の進行を抑制する働きがありますが、長年にわたって吸収し蓄積された結果、本来は弱アルカリ性の海水が少しずつ酸性に変化する酸性化が進んでいるということです。

海水の「pH」の地球全体の平均値が10年あたりで0.018低下(酸性化)したということであり、この値は産業革命以降の250年間の10年あたりの平均値に比べて4.5倍になっているそうです。酸性化が進むと海の生態系に大きな影響が出る可能性があるとともに、二酸化炭素を吸収する能力が低下して更なる温暖化を進めるおそれがあると言われています。

カーボンプライシングとは、二酸化炭素に価格をつけて企業等が排出量に応じてコストを負担するもので、これによって温暖化対策を進める政策の導入に向けて検討が進んでいます。

検討されているのは3つの政策案で、石油や石炭に課税する「炭素税」、企業の排出量に上限を設けて過不足分を取引する「排出量取引」、そして排出量を増やす行為を法律などによって制限する「直接規制」があります。

今後これらの対策を軸とした議論が進められると思われます。

12月15日号の「広報おおつ」5頁目に、STOP地球温暖化~暖房の基本を守って、暖房のクールチョイス(賢い選択)~が掲載されています。シリーズ記事の第3回です。

部屋をすばやく暖めて、できるだけ暖めた室温を冷まさないことが、暖房を使う上でのクールチョイス(賢い選択)であることを解説しています。是非お読みください。

次回は来年2月15日号に掲載予定です。