【活動報告】リモート講演会 「地球温暖化NOW! ~迫りくる気候危機と社会の大転換~」を開催しました。

2021/03/23

令和3年1月30日()、環境省補助事業として、リモート講演会 「地球温暖化NOW! ~迫りくる気候危機と社会の大転換~」を開催しました。…

講師に、地球温暖化の未来予測やリスク論研究の第一人者である国立環境研究所の江守 正多氏(地球環境研究センター副センター長)をお招きし、迫りくる気候危機に対して、それを乗り越えるためには、これから社会は大きく変わっていかなければならいこと、そして、そのために私たちは何を考え、どのように行動していかなければならかをテーマにご講演いただきました。

今回は、コロナ禍の状況を踏まえ、茨城県つくばとビューイング会場である大津をオンラインで結び開催しました。

江守先生からは、第1部で「温暖化の未来予測と温暖化による様々な影響について」をテーマに、第2部では、第1部を踏まえ、「脱炭素社会に向けて私たちは何ができるか、何をするべきか」をテーマに2部構成でお話をいただいた。

第1部では、温暖化の進行に伴う現象、影響について説明され、また、温暖化によって起こっている現象がある温度を超えると止まらなくなるティッピング現象についても説明があり、これが引き金になって他の現象のティッピングに連鎖し、次々とドミノ倒し的に連鎖が進む懸念があるとの説明がありました。また、深刻な被害を受ける人々は、CO2を排出していない発展途上国の人や将来世代の人であって、ここが気象正義と言われる所以であるとされ、このような状況からパリ協定で気温上昇を2℃までに抑えることとしたが、もう既に1.2℃になっているとのお話があった。

第2部では、第1部を踏まえ、「脱炭素社会に向けて私たちは何ができるか、何をするべきか」をテーマにお話をいただいた。ここでは、パリ協定の2度未満の目標に向けて対策をした場合と対策なしの場合の2100年までの気候変化のシミュレーションを示されて、排出削減の必要性を説かれた。また、世界では気候変動対策が生活の質を高めるものと考えている人が66%いるのに、日本は生活の質を脅かすものと考えている人が60%もいるという調査結果をもとに、日本人は気候変動対策の無関心が多いのはなぜかと問題提起された。

このことは日本人は温暖化対策は我慢して行うものとの負担意識があるからではないかとされ、我慢して取り組むだけではCO2排出ゼロは無理で、そのためには社会の仕組みや常識がかわる社会の大転換が必要で、これを前向きな社会のアップデートと考える方向に変えていこうと説明されました。また、エリカ・チェノウェスらの研究「国民の3.5%が行動を起こせば必ず変化がもたらされた」を引用されて、社会の変化は起こせると言われました。

最後に、気候変動は、省エネを頑張る段階から、再エネ・EVなどを選ぶ段階に行こうとしているが、これは本当の出口ではなく、人間活動による生態系への侵食、際限なく拡大する人間の活動などを乗り越えるという出口議論が必要であると結ばれました。

江守先生にお話に関しては、オンライン参加者や会場での参加者から多くの意見、質問が寄せられ、先生が一つ一つ分かりやすく説明をされ、活発な意見交換会となり、有意義な講演会となったものと考えています。