「生物季節観測」の発展的な活用に向けた試行調査の開始について(気象庁、環境省)

2021/04/20

気象庁、環境省は3月30日に、生態環境の変化や気候変動の生態系への影響把握、身近な生物の観察を通じた四季の変化や生物への関心を高める活動等、「生物季節観測」の発展的な活用に向けて、気象庁、環境省、国立環境研究所が連携した試行的な調査を開始する発表しました。

気象庁では、季節の遅れ進み、気候の違い・変化を的確に捉えることを目的として、生物季節観測を昭和28年(1953年)から全国で統一した観測方法で開始し、令和2年1月現在、全国の気象台・測候所58地点で植物34種目、動物23種目を対象に、「さくらの開花」や「かえでの紅葉」、「いちょうの黄葉」、開花の初鳴き等を観測していたが、近年は気象台・測候所周辺の生物の生態環境が変化しており、植物季節観測においては適切な場所に標本木を確保することが難しくなってきており、また、動物季節観測においては対象を見つけることが困難となってきているなどの理由で、昨年(2020年)11月10日に、気候の長期変化(地球温暖化等)及び一年を通じた季節変化やその遅れ進みを全国的に把握することに適した代表的な種目・現象を継続し、その他は廃止することとし、生物季節観測は、令和3年1月より、「さくらの開花・満開」や「かえでの紅葉・落葉」など6種目9現象を対象とするとされました。

今回の発表では、今後の調査枠組については、これまでの観測データとの継続性を保った調査(「調査員調査」)と広く一般の方まで参加する調査(「市民参加型調査」)がそれぞれ求められるとして、まず、「市民参加型調査」につながる試行調査を開始するとされました。

さらに、「市民参加型調査」につながる試行調査の進捗も踏まえながら、試行期間中に、国立環境研究所が中心となって、約70年の観測データの継続性の観点を重視した「調査員調査」につながる試行調査も立ち上げる予定とされています。

今後、気象庁、環境省、国立環境研究所では、これら試行調査の結果を踏まえて、効果的な調査枠組の検討を進めていく予定とされており、「生物季節観測」の発展的な広がりが期待されています。

 

(参考)気象庁、環境省同時発表資料
「生物季節観測」の発展的な活用に向けた試行調査の開始について
https://www.jma.go.jp/jma/press/2103/30a/seibutsu_shikouchousa.pdf