温暖化とは

産業革命以降、人間の活動による化石燃料の使用や森林の減少などにより、大気中に二酸化炭素などの温室効果ガスが蓄積され、その急激な増加によって地球規模で気温や海水温が上昇しています。

この結果、世界の平均的気温の上昇のみならず、異常高温や大雨・干ばつが増加し、水資源や農作物に影響が及び、将来、食糧や生態系、健康への深刻な被害を引き起こすのではないかと心配されています。

気候の変動によって起きると予測される事態に対して、どう対処し、解決策を見出していくか、今、真剣に考えなければなりません。

バイオ燃料の原料として期待されているのは、光合成によって二酸化炭素から油を作る藻を培養する実証プラントが本格稼働したことです。

このプラントは、大手の自動車部品メーカーが熊本県天草市の廃校跡地に建設したもので、プールで、光合成によって二酸化炭素から油を作る藻を大量に培養します。

バイオ燃料は、化石燃料に代わるエネルギー源で、温室効果ガスの削減につながると期待されており、2020年の東京オリンピック時にはバイオ燃料を使った航空機を運航させるという国の構想もあります。

再生可能エネルギーは供給が不安定といわれます。そこで、余った電気を蓄え、必要な時に使う「蓄エネ」の新しい取り組みが行われ広がっています。電気自動車には高性能なリチウムイオン電池が搭載されていますが、ほぼ10万キロ走ると廃棄されます。この中古品を回収して蓄電池として再利用します。九州にある甑島では中古電池を集めた蓄電センターがつくられています。

また、発電した電力で水を電気分解して水素を取り出し、それを燃料電池車に使うことや水素そのものを必要なところへ効率的に運ぶ技術も進んでいます。例えばトルエン(有機溶媒)と水素を化学結合させてMCH(メチルシクロヘキサン)にすると体積は500分の1に、また、水素吸蔵合金やアンモニアを活用すれば1,000倍以上の水素を蓄えられるという実験も進んでいます。

東日本大震災の復興の一環として、福島県に世界最大規模の水素製造工場をつくる「福島新エネ社会構想」の案が発表されました。

2020年までに稼働させることを目指しています。これは水素社会実現のモデルづくりで、具体的には水を電気分解する方法で燃料電池車1万台分の年間使用量に相当する900トンの水素をつくり、水素ステーションも重点的に整備するという構想です。

あわせて太陽光や風力発電など再生可能エネルギーの更なる導入を図るとしています。温暖化防止対策として水素エネへの期待が高まっています。

2020年度から「建築物省エネ法」(平成27年7月成立)が義務化されます。これは「省エネ法」から建築物部門を独立させ、建築物全体の省エネ性能を向上させようという法律です。

家庭でいえば家全体のエネルギー消費の削減を目指すもので、キーワードの一つが「窓の断熱」です。
住宅の新築をお考えの市民の皆様には、将来のことを考えて、この法律に留意して、快適で環境負荷の減らせる住まいの建設をお考えください。

国は2030年26%のCO2排出量削減に取り組んでいますが、そのためには民生部門(家庭・業務)で40%以上の大幅削減が必要としています。その中で、電灯のLED化・給湯の効率化等と共に、住宅の断熱気密の高度化を重要施策とし、新築・リフォームにあたって省エネへの配慮を呼び掛けています。

大気中のCO2の平均濃度が昨年も過去最高を更新しました。日本国内3か所(岩手県大船渡市、沖縄県与那国島、南鳥島)の観測地点のすべてで、初めて400ppmを超えました。

気象庁によると国内の観測地点では毎年2ppm前後の上昇が続いており、この傾向があと10年も続くと今世紀末の気温上昇を2℃未満に抑えるための目安とされている420ppm程度に達してしまうと危惧されています。一層の温暖化防止努力が求められます。

地球温暖化の現状や滋賀県の温暖化の影響に対する取り組みを、NPO法人おおつ環境フォーラム( http://eco-otsu.net )の広報誌No.12で説明されていますので、紹介いたします。

NPO法人おおつ環境フォーラム通信 広報誌No.12http://eco-otsu.net/?p=3794 )

 

上がり始めた気温

IPCC第5次評価報告書(2014)によると、1880~2012年の傾向では、世界平均気温は0.85℃上昇しています。これは2001年に発表されたIPCC第3次評価報告書で示されていた1901~2000年の100年当たり0.6℃の上昇傾向よりも大きくなっています。
特に最近30年の各10年間の世界平均気温は、1850年以降のどの10年間よりも高温となっています。中でも1998年は世界平均気温が最も高かった年でした。2013年には2番目に高かった年を記録しています。

特に過去50年の気温の上昇は、自然の変動ではなく、人類が引き起こしたものと考えられます。
今後、温室効果ガス濃度がさらに上昇し続けると、今後気温はさらに上昇すると予測されています。IPCC第5次評価報告書によると、2100年末には温室効果ガスの排出量が最も少なく抑えられた場合(RCP2.6シナリオ)でも0.3~1.7℃の上昇、最も多い最悪の場合(RCP8.5シナリオ)の場合に最大4.8℃の上昇と予測されています。(いずれも、1986~2005年を基準とする)

琵琶湖の環境改善のために国と県が連携して取り組む「琵琶湖再生法」に対して、県が再生計画の策定に着手します。

この計画は琵琶湖を守り生態系の改善を目指して、国民の幅広い共感を得、産業や暮らしとの共存を図り、琵琶湖の価値を将来にわたって共有することが重要であるとの認識に基づくものです。

県では、自然と共生する社会モデルをつくり世界に向けて発信する、としています。

2014年度の排出量は13億6,400万トンで前年比3.1% 減りました。リーマンショックで景気が後退した2009年以来5年ぶりということです。

その理由について環境省は、原発事故の後、省エネの取組みや再生可能エネルギーの導入が進んだことなどをあげています。今後も引続きこの趨勢を伸ばしていきたいものです。

22日にニューヨークで協定の署名が行われます。署名した国は今後、国内手続きを経て協定を締結することになります。締結国の数が55か国を超えること、締結国の温室効果ガスの排出量が世界全体の55%以上になることが協定発効の条件です。

日本(排出量7位)の他、排出量が1,2位のアメリカと中国が署名するといわれており、パリ協定の発効に向かって大きく前進します。