温暖化とは

産業革命以降、人間の活動による化石燃料の使用や森林の減少などにより、大気中に二酸化炭素などの温室効果ガスが蓄積され、その急激な増加によって地球規模で気温や海水温が上昇しています。

この結果、世界の平均的気温の上昇のみならず、異常高温や大雨・干ばつが増加し、水資源や農作物に影響が及び、将来、食糧や生態系、健康への深刻な被害を引き起こすのではないかと心配されています。

気候の変動によって起きると予測される事態に対して、どう対処し、解決策を見出していくか、今、真剣に考えなければなりません。

日本穀物検定協会が発表している全国で生産されてお米について、味や香り・粘りなどの6項目の試験の結果、近江米が2年連続して最高ランクの「特A」を獲得しました。「みずかがみ」は滋賀県が10年をかけて開発したもので、暑さに強く、品質が安定していることが特徴といわれます。

温暖化が進む中で、温暖化に対する適応策が問われるようになっており農作物の品種改良も必要となっています。「みずかがみ」が今後ますます高い評価を受けることが期待されます。

WMO(世界気象機関)の発表によると北極海の氷の大きさが、1月としては観測史上、最も小さくなったということです。その大きな原因は、温室効果ガスの排出により地球の平均気温が上昇していることにあるとしています。一年前に比べて減った氷の面積は日本の面積のおよそ3分の2に相当します。

同じく南極の海の氷も1月としてはこれまでに比べて最も小さくなったということです。この状況は、世界全体の気象に深刻な影響を及ぼす可能性があると懸念されています。

21世紀後半に世界全体で温室効果ガスの排出量を実質的にゼロにするという「パリ協定」が発効したことを受けて、排出量の大きい石炭火力発電事業から投資を撤退させる動きがヨーロッパを中心に広がっています。

例えばノルウェーでは、年金の運用に当っている政府機関が火力発電など石炭を使う事業の売上が大きい企業から投資を撤退する動きがあります。

日本では2030年の電源構成の中で石炭火力に依存する部分が含まれていますが、今後の世界の動きに注目し、再生可能エネルギーの普及に更に力を入れる政策が求められると指摘する専門家もいます。

アフリカ・中東などで気候変動や森林伐採、耕作の集中によって土地がやせて植物が育たなくなる「砂漠化」が進んでいます。

これが原因となって食糧や水が不足し、貧困を起こすなどの深刻な事態があり、難民やテロなどを引き起こす事態が発生していることに対して、国連の砂漠化対策担当は、世界で7億人が土地のやせた農村地帯で貧しい生活をしているとして、日本の理解と国際協力を求めています。

政府が策定した2030年に向けた温室効果ガスの削減目標によると国内の発
電量の40%余りを温室効果ガスの排出量が少ない「低炭素電源」で賄うとし
ていますが、この度環境省は低炭素電源の比率を高め2050年にはその比率
を90%以上とする戦略を提言する方針です。

「パリ協定」では2050年に向けた温暖化対策の新たな長期戦略を各国が3年後までにつくることになっています。この取り決めに対応してこの度、戦略を立てることにしたわけですが、低炭素電源の中には、再生可能エネルギーや原子力発電が含まれます。原発事故が心配される発電ではなく、再生可能エネルギーの普及によって低炭素社会の実現を願いたいものです。

東京都では家庭における省エネを促進するために、地域の電器店に白熱電球を2個持っていくとLED電球1個と交換してくれるという施策を発表しました。これによってLED電球100万個を普及させるということで、18億円の予算を組むそうです。

LED電球の省エネ効果は知られていますが、まだ値段が高いため普及に時間がかかります。早期の普及を図り地域の温暖化防止に役立てようという東京都の取り組みが他の自治体にも広がると良いのですが…。

世界の平均気温が去年、その前の年を0.04℃上回って3年連続で観測史上最高値を記録しました。アメリカの政府機関は温室効果ガスの排出による温暖化の傾向が明らか、と警鐘をならしています。

アメリカのNOAA(海洋大気局)などによると昨年は太平洋の赤道付近で発生したエルニーニョの影響もあるものの、平均気温上昇の大きな原因は温室効果ガスの排出によるものとされています。北極の氷の大きさも1年のほとんどの時期で、最小を更新したそうです。

温暖化が進むとジカ熱のように、蚊が媒介する感染症が世界の広い地域で流行する危険性(リスク)が高まると懸念されています。ウイルスの広範な発生により感染が大爆発するパンデミックです。

鳥インフルエンザもまだ、人から人への感染はありませんが、ウイルスが繁殖できる温度の範囲に変化が起こると、鳥⇒豚⇒人間というように感染が伝わっていくことが懸念されており、その対応策をつくることが急務とされています。

弥生時代2世紀後半に起こった倭国の大乱の大きな原因は、当時の気候変動の結果、大雨・洪水や干ばつが盛んに起こり、そのため耕作物が地域によって大きく変化し、食べる物が無くて苦しんだ地方の住民が豊かな地域を襲撃して争いを起こしたという説が有力視されています。木の年輪の育ち方等から大きな気候変動があったのではないか、と言われています。

これは昔話と簡単には片づけられない大きな問題をはらんでいます。地球温暖化が進むとこれからの世界で同じような事態が発生することも危惧されています。

気候変動にどう適応していくのか、模索が続いている中、気候変動適応情報プラットフォームポータルサイトに事業者の適応事例の掲載が始まりました。

次のアドレスからご覧になれます。( http://www.env.go.jp/press/103290.html

取組み事例は、気候リスク管理と適応ビジネスの2つに大別されています。「気候リスク管理」は気候変動によるリスクに対応するための取組みで、生産拠点やサービス提供拠点での防災対策、サプライチェーンの災害影響軽減策などが、「適応ビジネス」では気候変動の影響を回避軽減するための商品やサービスの提供があげられます。

温暖化の緩和策を進めても今後数十年にわたって気温上昇や異常気象の発生は避けられないと予測されており、今後、気候変動に対する適応策が重要になってくると考えられています。