温暖化とは

産業革命以降、人間の活動による化石燃料の使用や森林の減少などにより、大気中に二酸化炭素などの温室効果ガスが蓄積され、その急激な増加によって地球規模で気温や海水温が上昇しています。

この結果、世界の平均的気温の上昇のみならず、異常高温や大雨・干ばつが増加し、水資源や農作物に影響が及び、将来、食糧や生態系、健康への深刻な被害を引き起こすのではないかと心配されています。

気候の変動によって起きると予測される事態に対して、どう対処し、解決策を見出していくか、今、真剣に考えなければなりません。

気象庁によると大気中の二酸化炭素が海に溶け込むことによって起る海の酸性化が急速に進んでいるということです。

海は大気中の二酸化炭素を吸収し温暖化の進行を抑制する働きがありますが、長年にわたって吸収し蓄積された結果、本来は弱アルカリ性の海水が少しずつ酸性に変化する酸性化が進んでいるということです。

海水の「pH」の地球全体の平均値が10年あたりで0.018低下(酸性化)したということであり、この値は産業革命以降の250年間の10年あたりの平均値に比べて4.5倍になっているそうです。酸性化が進むと海の生態系に大きな影響が出る可能性があるとともに、二酸化炭素を吸収する能力が低下して更なる温暖化を進めるおそれがあると言われています。

カーボンプライシングとは、二酸化炭素に価格をつけて企業等が排出量に応じてコストを負担するもので、これによって温暖化対策を進める政策の導入に向けて検討が進んでいます。

検討されているのは3つの政策案で、石油や石炭に課税する「炭素税」、企業の排出量に上限を設けて過不足分を取引する「排出量取引」、そして排出量を増やす行為を法律などによって制限する「直接規制」があります。

今後これらの対策を軸とした議論が進められると思われます。

ドイツのボンで開かれている「COP23」において、日本は二酸化炭素の排出量が大きい火力発電所の建設を支援しているとして、国際NGOから「化石賞」を贈られてしまいました。温暖化防止対策に消極的であるという非難を浴びた形となってしまいました。

火力発電について、日本は優れた技術を持っているといわれ、海外にも技術輸出をしています。しかしもっと、再生可能エネルギーの開発・普及に日本の環境技術を活かすべきだという指摘でしょう。

環境省は暖房時の室温を20℃で快適に過ごすライフスタイルとして「WARMBIZ」を推進しています。今年の冬は寒いか暖かいか分かりませんが、冬の暖房によって排出するCO²は大きな量になります。暖房は20℃を目安として、健康にも十分注意して、快適な生活を過ごす工夫を考えましょう。


期間は11月1日から来年3月31日までです。

環境省のホームページで「ウォームビズ」を検索すると、女優の杏さんのメッセ―ジ動画も見られます。

https://ondankataisaku.env.go.jp/coolchoice/warmbiz/

世界気象機関(WMO)の発表によると2016年の世界の大気中の温室効果ガス濃度が過去最高になったようです。地球温暖化の原因になるとされる3種の温室効果ガスについて、二酸化炭素(CO²)の世界の平均濃度は403.3ppmで、前年より3.3ppm増え、過去最高の値になったということです。

そして前年対比増加量も過去最高ということです。他の温室効果ガス、メタンや一酸化二窒素の濃度も観測史上最高になりました。これらの数値から見る限り温暖化対策を加速させることが益々急務といえます。

日本は、これまで把握が難しかった発展途上国の企業などが排出した温室効果ガスや排出抑制の対策の効果を「見える化」する仕組みを整備して支援することを決めました。

パリ協定では、途上国を含むすべての国が温室効果ガスの削減目標を国連に提出することが求められていますが、途上国の中には、まだ、排出量を正確に把握するノウハウがなく対策の効果も検証できない国もあるようです。

そのため、日本は、このような途上国を支援して排出量や対策の効果を数値化して「見える化」する仕組みを整備して支援することになりました。日本の企業が使っている排出量の算定方法を途上国にも広めていこうということです。

このことを通じて日本企業が持つ高い省エネ技術を海外に広める道も開けると考えられます。

従来のシリコン太陽電池が普及する中、日本の研究者が開発を進めている新型太陽電池が注目を集めています。これは「ペロブスカイト太陽電池」と呼ばれるもので、桐蔭横浜大学の宮坂教授らのチームが開発を進めています。

ペロブスカイト結晶の薄膜を発電部に使用して太陽電池として作動させる技術で、近年、光電変換効率の向上もめざましいといわれています。従来の太陽電池に比べて製造コストが安く、基板の上に印刷するだけで簡単に作れるといわれ、多くの用途開発に期待が寄せられています。

耐久性などの課題が残されているものの、次世代太陽電池として日本発の技術革新に大きな期待が集まっています。

欧米の大手企業(アメリカのアップルやドイツのBMW、食品大手のスイスのネスレ、家具メーカーのスウェーデンのイケアなど)がパリ協定の発効を受けて自社事業で使用する電力の全てを再生可能エネルギーで賄うことを表明する中、日本においても積水ハウスがお客様が太陽光を使って発電した電力を購入して自社で使う電力の全てを再生可能エネルギーで賄う方針を表明しました。

住宅用の再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)の契約期間は10年で、2019年度が契約終了を迎える初年度となることから同社は、契約が終了した住宅のオーナーから余剰電力を購入する計画であるといわれます。

企業が事業で使う電力の全てを再生可能エネルギーで賄うという国際的なイニシャチブは「RE100」(Renewable Energy100%)といわれ今年1月末時点で世界の87社が加盟しており、達成目標年度を明示する企業も増えています。日本では、リコーも加盟しています。

フランス政府が2040年までに国内におけるガソリン車・ディーゼル車の販売を禁止すると発表したのに続いて、イギリスでも同様の方針が出されました。

いずれも大気汚染やCO²排出の削減を目指すもので、この政策により電気自動車(EV)への移行など温暖化を抑制する対策が進むものと期待されています。

フランス国立科学研究センターの調査によると、温暖化による海水温の上昇などの影響でサンゴが死滅する白化現象が進んでいることが明らかになりました。

研究機関の探査船がこれまでに世界の海を5万キロ航行して調査した結果として、南太平洋のサモア周辺では最大90%のサンゴが白化し、ツバル周辺でも多くのサンゴが既に回復不可能な死滅状態になっているということです。また沖縄周辺では石垣島の国内最大のサンゴ礁「石西礁湖」でおおよそ70%が白化していると報告されています。