温暖化とは

産業革命以降、人間の活動による化石燃料の使用や森林の減少などにより、大気中に二酸化炭素などの温室効果ガスが蓄積され、その急激な増加によって地球規模で気温や海水温が上昇しています。

この結果、世界の平均的気温の上昇のみならず、異常高温や大雨・干ばつが増加し、水資源や農作物に影響が及び、将来、食糧や生態系、健康への深刻な被害を引き起こすのではないかと心配されています。

気候の変動によって起きると予測される事態に対して、どう対処し、解決策を見出していくか、今、真剣に考えなければなりません。

世界の平均気温が去年、その前の年を0.04℃上回って3年連続で観測史上最高値を記録しました。アメリカの政府機関は温室効果ガスの排出による温暖化の傾向が明らか、と警鐘をならしています。

アメリカのNOAA(海洋大気局)などによると昨年は太平洋の赤道付近で発生したエルニーニョの影響もあるものの、平均気温上昇の大きな原因は温室効果ガスの排出によるものとされています。北極の氷の大きさも1年のほとんどの時期で、最小を更新したそうです。

温暖化が進むとジカ熱のように、蚊が媒介する感染症が世界の広い地域で流行する危険性(リスク)が高まると懸念されています。ウイルスの広範な発生により感染が大爆発するパンデミックです。

鳥インフルエンザもまだ、人から人への感染はありませんが、ウイルスが繁殖できる温度の範囲に変化が起こると、鳥⇒豚⇒人間というように感染が伝わっていくことが懸念されており、その対応策をつくることが急務とされています。

弥生時代2世紀後半に起こった倭国の大乱の大きな原因は、当時の気候変動の結果、大雨・洪水や干ばつが盛んに起こり、そのため耕作物が地域によって大きく変化し、食べる物が無くて苦しんだ地方の住民が豊かな地域を襲撃して争いを起こしたという説が有力視されています。木の年輪の育ち方等から大きな気候変動があったのではないか、と言われています。

これは昔話と簡単には片づけられない大きな問題をはらんでいます。地球温暖化が進むとこれからの世界で同じような事態が発生することも危惧されています。

気候変動にどう適応していくのか、模索が続いている中、気候変動適応情報プラットフォームポータルサイトに事業者の適応事例の掲載が始まりました。

次のアドレスからご覧になれます。( http://www.env.go.jp/press/103290.html

取組み事例は、気候リスク管理と適応ビジネスの2つに大別されています。「気候リスク管理」は気候変動によるリスクに対応するための取組みで、生産拠点やサービス提供拠点での防災対策、サプライチェーンの災害影響軽減策などが、「適応ビジネス」では気候変動の影響を回避軽減するための商品やサービスの提供があげられます。

温暖化の緩和策を進めても今後数十年にわたって気温上昇や異常気象の発生は避けられないと予測されており、今後、気候変動に対する適応策が重要になってくると考えられています。

排出した二酸化炭素に価格をつけてそれに見合ったコストを排出者に負担してもらい、排出量を減らそうというカーボンプライシングという制度の本格的な導入に向けて準備が始まるようです。

企業が排出できる二酸化炭素の量に上限を設け、過不足分を別の企業と売り買いできる排出量取引制度や排出量に応じて課税する炭素税の税率などについて検討される予定です。温暖化防止対策と経済との調和が議論されることになると思われます。

 

北アフリカのモロッコでのCOP22において、温暖化が引き起こす海洋への影響と対策を議論する会議が開かれ、温暖化によって「海の酸性化」が進んで生態系が変化し、さらに温暖化を深刻にしている恐れがあると指摘されました。

海水が二酸化炭素を吸収することで起きる海の酸性化が特に海面に近いところで進んでおり、産業革命前に比べて30%悪化していると報告されています。海の酸性化が進めば光合成によって二酸化炭素から酸素をつくるプランクトンや藻などの海の生態系がこわれて、温暖化がさらに進むおそれがあるといわれています。

国連の気候変動枠組条約締約国会議の第22回(COP22)が11月7日から北アフリカのモロッコで始まりました。

この会議において、昨年のCOP21「パリ協定」の発効を受けて、各国のCO₂排出削減目標をどのように検証し確実な削減につなげていくかについて、具体的な実行ルールづくりを話し合うことになります。その成果が今後の地球温暖化対策の国際的な合意として実行に移されることになるだけに、大きな期待が寄せられています。

しかし日本は締約が遅れており、締約国の会合には決定に異議の申し立てができないオブザーバーとしての参加しかできず、交渉力の低下が懸念されています。

11月4日、世界の国々が力を合わせて地球温暖化防止に取り組む「パリ協定」が発効しました。

昨年、世界の190以上の国と地域が参加したCOP21において採択された「パリ協定」の締約国が発効の条件を満たして30日が経過し発効しました。日本は残念ながら手続きが遅れて発効の日までに締約することができませんでした。いわば日本抜きで発効したことになります。

協定によると今世紀後半には温室効果ガスの排出量を実質的にゼロにすることを目指していて、各国が5年ごとに削減目標を提出し対策を進めることが義務づけられています。

温室効果ガス(二酸化炭素等)の世界の平均濃度が去年、観測史上、最も高い値になったとWMO(世界気象機関)が発表しました。

CO2の世界の平均濃度は400ppmで、前の年からの増加率も高い水準になっています。また、メタンが1845ppb、一酸化二窒素が328ppbで、いずれも過去最大値になったということです。

好ましくないことながら、地球温暖化は着実に進んでいると思われます。

昨年12月のCOP21で世界の合意を得た地球温暖化防止に関する「パリ協定」について、中国、アメリカ、そしてヨーロッパの主要国が締結したので、11月4日には協定が発効することになりました。

日本はまだ批准していませんが、日本抜きで発効することについて、経団連は国会の承認を急ぐように要請したと報道されています。

経団連は、来月開催されるCOP22に協定を批准した国として参加することが大切としています。この協定について、既に閣議決定して国会に提出されているので、国は、国会での承認を求める手続きを急ぎたいとしています。早期承認が求められています。