温暖化とは

産業革命以降、人間の活動による化石燃料の使用や森林の減少などにより、大気中に二酸化炭素などの温室効果ガスが蓄積され、その急激な増加によって地球規模で気温や海水温が上昇しています。

この結果、世界の平均的気温の上昇のみならず、異常高温や大雨・干ばつが増加し、水資源や農作物に影響が及び、将来、食糧や生態系、健康への深刻な被害を引き起こすのではないかと心配されています。

気候の変動によって起きると予測される事態に対して、どう対処し、解決策を見出していくか、今、真剣に考えなければなりません。

11月4日、世界の国々が力を合わせて地球温暖化防止に取り組む「パリ協定」が発効しました。

昨年、世界の190以上の国と地域が参加したCOP21において採択された「パリ協定」の締約国が発効の条件を満たして30日が経過し発効しました。日本は残念ながら手続きが遅れて発効の日までに締約することができませんでした。いわば日本抜きで発効したことになります。

協定によると今世紀後半には温室効果ガスの排出量を実質的にゼロにすることを目指していて、各国が5年ごとに削減目標を提出し対策を進めることが義務づけられています。

温室効果ガス(二酸化炭素等)の世界の平均濃度が去年、観測史上、最も高い値になったとWMO(世界気象機関)が発表しました。

CO2の世界の平均濃度は400ppmで、前の年からの増加率も高い水準になっています。また、メタンが1845ppb、一酸化二窒素が328ppbで、いずれも過去最大値になったということです。

好ましくないことながら、地球温暖化は着実に進んでいると思われます。

昨年12月のCOP21で世界の合意を得た地球温暖化防止に関する「パリ協定」について、中国、アメリカ、そしてヨーロッパの主要国が締結したので、11月4日には協定が発効することになりました。

日本はまだ批准していませんが、日本抜きで発効することについて、経団連は国会の承認を急ぐように要請したと報道されています。

経団連は、来月開催されるCOP22に協定を批准した国として参加することが大切としています。この協定について、既に閣議決定して国会に提出されているので、国は、国会での承認を求める手続きを急ぎたいとしています。早期承認が求められています。

昨年12月のCOP21で世界の合意を得た地球温暖化防止に関する「パリ協定」について、締約国が55か国以上になり、それらの国々の温室効果ガスの排出量が世界全体の55%以上に達することが発効の要件となっています。

国連は、10月5日に72の国・地域が締約し、その排出量合計が56%を超える見通しが立ったと発表しました。この要件が整うと1か月後の11月4日には協定が発効することになります。

日本はまだ、手続きができていませんが、日本の手続きを待たず国際合意は発効することになります。今回の合意については最大の排出国であるアメリカと中国が早く締約を決めたことが大いに貢献したと考えられます。

今後、合意した内容を実行することが必要で、克服していかなければならない課題は多く残されていますが、地球を守り、人間を含めた生物の生命を守るために、全世界が協力して取り組んでいかなければなりません。

「パリ協定」の合意に合わせて国は2030年の温室効果ガスの削減目標を公表しましたが、17の都道府県と政令指定都市が国の目標を超える高い削減率を設定していることが分かったと報道されています(8月29日朝日新聞朝刊)。

自治体はローカルアジェンダで地域の温室効果ガスの削減目標を設定していますが、現実には目標達成が厳しい状況のようです。

しかし温暖化の現状は危機的な状態にあると指摘されており、今後の自治体の取り組みの推移が注目されています。そのような中で、多くの自治体が意欲的な削減目標を設定し、積極的に取り組みを進めようとしていることは力強い限りです。

省エネ家電への買い替え・省エネ住宅の賃貸契約など、二酸化炭素の削減量に応じた補助金を量販店や不動産業者に支給することが2017年度に実現する見込みです。業者に支給することによって、消費者へも値引きなどの形で還元されることが期待されます。

環境省は石油や石炭などによる温室効果ガスの排出に課税する炭素税の本格的な導入について検討を始めることになりました。

国は、2030年度の温室効果ガスの排出量を26%削減(2013年比)する目標を掲げていますが、その目標を達成するために炭素税の導入効果を調査します。炭素税については、これまでにも議論されましたが、排出量の多い業界の反発もあり実現しませんでした。

今後、検討がどのように進んでいくか注目を集めています。

バイオ燃料の原料として期待されているのは、光合成によって二酸化炭素から油を作る藻を培養する実証プラントが本格稼働したことです。

このプラントは、大手の自動車部品メーカーが熊本県天草市の廃校跡地に建設したもので、プールで、光合成によって二酸化炭素から油を作る藻を大量に培養します。

バイオ燃料は、化石燃料に代わるエネルギー源で、温室効果ガスの削減につながると期待されており、2020年の東京オリンピック時にはバイオ燃料を使った航空機を運航させるという国の構想もあります。

再生可能エネルギーは供給が不安定といわれます。そこで、余った電気を蓄え、必要な時に使う「蓄エネ」の新しい取り組みが行われ広がっています。電気自動車には高性能なリチウムイオン電池が搭載されていますが、ほぼ10万キロ走ると廃棄されます。この中古品を回収して蓄電池として再利用します。九州にある甑島では中古電池を集めた蓄電センターがつくられています。

また、発電した電力で水を電気分解して水素を取り出し、それを燃料電池車に使うことや水素そのものを必要なところへ効率的に運ぶ技術も進んでいます。例えばトルエン(有機溶媒)と水素を化学結合させてMCH(メチルシクロヘキサン)にすると体積は500分の1に、また、水素吸蔵合金やアンモニアを活用すれば1,000倍以上の水素を蓄えられるという実験も進んでいます。

東日本大震災の復興の一環として、福島県に世界最大規模の水素製造工場をつくる「福島新エネ社会構想」の案が発表されました。

2020年までに稼働させることを目指しています。これは水素社会実現のモデルづくりで、具体的には水を電気分解する方法で燃料電池車1万台分の年間使用量に相当する900トンの水素をつくり、水素ステーションも重点的に整備するという構想です。

あわせて太陽光や風力発電など再生可能エネルギーの更なる導入を図るとしています。温暖化防止対策として水素エネへの期待が高まっています。